北京NOW (A)    
     第4号 2005.1.13発行 by 武田 勝年
    日中戦争終結60周年

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 最近の日本政府の調査で中国に親近感を持つ人の比率が10%下がり37%になった。中国側で日本に親しみを持たない人の比率が50%を超えているとの報道もあった。APECで胡錦涛総書記(10月21日)、アセアン+3で温家宝総理(10月30日)と会見した小泉首相は、靖国参拝に就いての自分の考えを説明し、中国側はストレートにその中止を求めた。二回の会談で日中間の「政冷」問題に関して具体的な成果、進展が見られたわけではないが、双方トップ間で忌憚のない意見交換の場がもたれたことは、両国政府の「政冷」問題の解決、緩和に向けての意欲として評価したい。しかしながら、現在の日中間には、歴史認識、台湾、エネルギー(東シナ海油田開発、ロシア原油パイプライン)などの問題が横たわり、日本の中国向けODA削減が微妙な影を投げかけている。更には中国の軍備近代化(軍備拡張)は、日本の新防衛大綱で触れられ、日米政府戦略対話の中でも主要議題として取り上げられることになった。これに対して中国は敏感に反応し不快感を隠していない。1972年の日中国交回復時の熱狂、1980年代前半の蜜月時代を想起すると、現在の日中関係は明らかに冷え込み、ぎくしゃくしている。


中国に対する親近感
資料 『外交に関する世論調査』世論調査報告書,平成16年10月調査(内閣府大臣官房政府広報室)

 このような状況の下で2005年は日中戦争終結60周年を迎え、中国では各種記念行事が開催されるであろう。その都度、中国首脳が「歴史問題」に言及し、メディアは些細な事象(と日本人が思う)を捉えて反日報道をするのであろうか。「子々孫々に亘る友好を続けよう」(世世代代友好下去)のスローガンはどこに行ったのだろう。この状況に冷静に対処するために二点を提起しておきたい。


 1、 両国の関係改善には時間が掛かることを覚悟すべし。
 日米安全保障を機軸とする日本外交は、アメリカの基本戦略から外れて独自性を発揮することは非常に難しいのだが、そのアメリカは東西冷戦の終焉後、世界の警察、民主化の旗手を自認し、中国の台頭に警戒感を緩めていない。一方、近年来急速な経済成長を遂げた中国は、国際社会での存在感、発言力が高めており、国内問題に対処するためにも対外的に、とりわけ日本には強い態度を示さざるを得ない。即ち、日中関係は両国間でのみ解決できるものではなく、世界の政治、経済環境の変化の中で、双方の国内事情にも配慮しながら粘り強い努力を続ける他ないものと思われ、その改善には時間が掛かる。


 2、 官民を挙げて文化・人材の交流に取り組むべし。
 日本のアニメやポップスは中国で非常に人気が高い。日本食を楽しむ中国人は急速に増えている。多くの中国人は日本の細やかな気配りやクリーンな環境に感心する。勿論、製造技術対する評価も非常に高い。一方、多くの日本人は中国の歴史、文化に親近感を感じており、京劇や各種拳法を学ぶ人さえいる。官民を挙げて双方の文化交流事業を大々的に推進し、国民レベルでそれぞれの良さを理解することが、政治を動かす力になることを期待したい。現在日本には約10万人の中国人留学生が居り、中国に留学する日本人も確実に増えている。彼らの成長が今後の健全な日中関係の再構築に大きな力となるであろう。日本は、アジア、中国からの留学生奨学金を大幅に増額し、彼らが学習、研究に集中できる環境を作ることで知日派、親日派を増やす必要がある。中国に日本の文化、歴史、言語、経済、そして科学技術や農業を学ぶ総合大学を中国に開設してもよい。ODA予算の削減が論じられる中で、国益に直接繋がる施策には予算を投入し、民間もそれに呼応して欲しい。終戦60周年を前向きにとらえ、大型記念事業として推進したい。

      
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