胡錦濤の打ち出した「和諧社会」の建設にとって、大きな課題の一つが、いわゆる「三農」問題であることは、衆目の一致するところであろう。そこで年末年始に積ん読の本を読んだ。中国共産党がほとんど制度疲労に陥っている姿は、どうやら三農問題に最もよく現れているようだ。中国革命の前夜に「国民党官僚資本」が中国を支配していると論じられたことは、少し年配の人々には周知のことだ。それとの対比でいえば、現在の中国を支配しているのは、「共産党官僚資本」そのものではないか。党員官僚が農民を絞り上げ、高利貸で太る醜悪な姿は、毛沢東がかつて『湖南農民運動調査報告』で描いた悪徳地主の姿と酷似している。こうして中国革命とはいったい何であったのかという深い慨嘆が聞こえるが、胡錦濤の課題とは、まさにこの問いに正面から答えることであろう。 |