農村から都市へ、内陸から沿海へ、要するに貧困地域から富裕地域に毎年1000万もの人口が流動している実情を捉えた公安部の全国規模の調査報告を先に見たが、「いまいち実態がわからない」、例えば流動して来た人口の流動元は何処なのか、というお叱りを頂戴した。実にもっともで、筆者はこれをあちこち詮索したのだが、2000年人口センサスのほかに、まとまった資料を発見しえないでいる。しかし、局部ながら北京市は例外で、「北京市外来人口動態監測調査公報」(北京市統計局)という調査報告を2001年、2002年、2003年の3年間にわたって発表し続けている。そこで、この資料を分析して、お叱りへの当座のお答えとしたい。
以下の数表はすべて、「北京市外来人口動態監測調査公報」2001年版、2002年版、2003年版から抽出してまとめたものである。論評よりも事実の確認が重要と思われるので、今回は2003年の数字の大づかみにすることに終始するのをお許しいただきたい。東京オリンピックの舞台は東北からの出稼ぎ者によってつくられたが、北京オリンピックの裏舞台で進行している3K労働の一端が明らかになるかどうか。
| (1) |
北京の外来人口は2003年に400万を超えた。(表1)
居住1日以上の外来人口は410万になり、2000年の人口センサス以来3年間で100万増加している。うち工商従業者319万人(78%)で、家族(14%)を含めると92%に達し、外来人口の9割以上は出稼ぎ労働者だと見ていい。居住半年以上のものも300万を超えた。年間増加数は2001-2002年59万人、2002-2003年23万人である。 |
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表1 北京市の外来人口総数 |
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単位:万人 |
外来人口 |
1997年 |
2000年* |
2001年 |
’97−’01
の増加 |
2002年 |
’01−’02
の増加 |
2003年 |
’02−’03
の増加 |
| 居住1日以上 |
229.9 |
308.4 |
328.1 |
98.2 |
386.6 |
58.5 |
409.5 |
22.9 |
| (うち工商従業者) |
181.0 |
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256.1 |
75.1 |
296.5 |
40.4 |
318.5 |
22.0 |
| 居住半年以上 |
146.3 |
|
262.8 |
116.5 |
286.9 |
24.1 |
307.6 |
20.7 |
| *:人口センサス |
| (2) |
上京1年以上の者が半分以上(56%)を占めている。(グラフ1)
3カ月以下16%、3-6カ月9%、6-12カ月19%、1年以上56%である。出稼ぎ労働者の半分以上が永住の体勢に入っていると見られ、諸種の社会的問題を派生させていると推察される。 |
| グラフ 1 上京時期(2003年) |
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| (3) |
商業サービスに従業する者が圧倒的(51%)である。(グラフ2)
商業サービス業が圧倒的(51.0%)で、行政・消費都市としての北京の産業構造を反映している。そのうち飲食業サービス員が15%、露店経営者が8.8%、商店経営者が5.6%を占めている。これは出稼ぎ労働者の北京ドリームの一端を示していよう。注目の建築労働者は4分の1弱(22.5%)である。意外に少ないのは工業従業者で1割強を占めるに過ぎず、工業従業者を主力とする長江経済圏や珠江経済圏と著しい違いを示している。 |
| グラフ 2 上京者の職業割合(2003年) |
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| (4) |
居住地域は都心部が減少し、郊外の外部に移って行っている。(表2)
都心部は16.0%→12.3%→ 12.0%→ 9.1%と半減の趨勢である。ドーナツの環が外来者の主居住区であり、半数以上(55.9%)が近郊に住んでいる。しかし、近郊は減少し始めており、いまや遠郊が急増しており、2003年は遠郊が35.0%を占めるまでになっている。北京市統計局の別の資料(
2004.02.02)によれば、外来流動人口が集中しているのは、近郊の朝陽区92.8万、海淀区85.5万、豊台区35.8万、遠郊の昌平区33.5万の4区である。
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表2 上京者の居住地区(2003年) |
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単位:万人 |
地区 |
1997年 |
割合(%) |
2001年 |
割合(%) |
2002年 |
割合(%) |
2003年 |
割合(%) |
| 城区 |
36.8 |
16.0 |
40.5 |
12.3 |
46.5 |
12.0 |
37.4 |
9.1 |
| 近郊 |
144.5 |
62.9 |
198.0 |
60.4 |
223.9 |
57.9 |
229.0 |
55.9 |
| 遠郊 |
48.6 |
21.1 |
89.6 |
27.3 |
116.2 |
30.1 |
143.1 |
35.0 |
| 合計 |
229.9 |
100.0 |
328.1 |
100.0 |
386.6 |
100.0 |
409.5 |
100.0 |
| (5) |
北京の外来流動人口の三大出身地は河北、河南、安徽である。(表3)
外来人口の2割は、北京の周辺を構成している河北(かつての直隷省)から流れ込んでいる。その河北は減少傾向を示しており、河南が河北に迫る勢いを示している。お手伝いさんの供給源として有名な安徽は第3位の位置を維持している。この河北+河南+安徽で4割以上を占めている。2001年に河北、河南、安徽、山東、四川、江蘇、湖北、浙江の8省合計で72.9%であったが、2003年には河北、河南、安徽、山東、四川、江蘇、湖北、黒龍江の8省で73.7%となった。ベスト8から消えたのは浙江であり、新たに登場したのは黒龍江である。 |
| 表3 上京者の出身地 |
出身地 |
1997年 (%) |
2001年 (%) |
2002年 (%) |
2003年 (%) |
| 河北 |
|
21.5 |
21.1 |
19.5 |
| 河南 |
|
13.4 |
15.0 |
16.0 |
| 安徽 |
|
10.0 |
9.3 |
7.9 |
| 3省計 |
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44.9 |
45.4 |
43.4 |
| 河北・河南・安徽・山東・四川・江蘇・湖北・浙江 |
77.4 |
72.9 |
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| 河北・河南・安徽・山東・四川・江蘇・湖北・浙江・黒龍江 |
|
76.3 |
77.8 |
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| 河北・河南・安徽・山東・四川・江蘇・湖北・黒龍江 |
|
|
72.4 |
73.7 |
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