2004年版の外資企業トップ500社が商業部外資司により漸く2005年1月末に発表された。漸くと言うのは、このランキングの基礎データは2003年の売上高で、1年以上も前の実情だからである。しかし、外資企業トップ500社は1991年以来15年にわたって継続的に発表されており、中国の外資企業の経営状況を知る最も重要な資料であることに変わりない。21世紀中国総研では、このデータを再加工・分析して、『中国進出企業一覧』及び『中国情報ハンドブック』で紹介しており、今年も両書の発刊をお待ち願いたいが、ここでちょっとだけ、500社のうち25社のランキング表を披露してトピックスを列挙してみよう(下表参照)。
(1)モトローラーの首位転落と上海フォルクスワーゲンの首位返り咲き
モトローラーがここ3年間トップの座にあったが、売上高がマイナス14.8%となり一気に5位に転落した。モトローラーは携帯電話で地場企業、半導体で台湾系企業に脅かされて苦境に陥り、家電部門に転進を図っているが、再浮上は容易でなかろう。携帯電話で中国市場を席巻して気を吐いた同業種のノキアの2社は共に前年比マイナスで9位→21位、12位→24位と大きく落ち込み、上海シーメンスも17位→36位と同様の憂き目に遭っている。これは中国市場における携帯電話市場の様変わりぶりを象徴している。よく持ちこたえているのはエリクソンで、南京エリクソンが48位→40位、北京エリクソンが56位→61位とランクを保っている。
上海フォルクスワーゲンはトップの座に返り咲いた。モトローラーにおさえられた3年をのぞいて一貫して外資トップの地位を占めてきた上海フォルクスワーゲンだが、ここに来て首位の座を保つのが難しい状況に直面している。乗用車の国内販売で主力車種であるサンタナの伸びが振るわずGMやホンダの追い上げをうけてシェアダウンが著しく、やがて売上げの凋落をもたらす趨勢にあるからである。次のトップ候補として有力なのは、同じフォルクスワーゲンと第一汽車(自動車)との合弁である一汽大衆汽車か(3位)、6位に上がってきている上海GMである。一汽大衆の主力車はアウディ、ジェッタ、ボラ、紅旗であり、上海GMはビュイック、セールである。
(2)パソコンメーカーの躍進
躍進著しいのはパソコン及びパソコン周辺機器メーカーである。第2位の鴻富錦精密工業(深圳)は台湾の鴻富(FOXCONN)の投資企業であり、世界の企業向けに電子コネクター、マザーボードなどPC関連機器をOEM供給している。また、4位の達豊(上海)電脳は世界一のノートパソコンメーカー・台湾の広達(QUANTA)の上海工場である。パソコンメーカーは、国内市場専門の自動車メーカーと異なり輸出に特化していて、鴻富錦精密は中国で輸出トップ企業でもある。IBM、デル、ヒューレト・パッカードもトップ10にいて、パソコンメーカーが10社中半分を占め、中国は世界のパソコン工場と化している。このうちIBMを聯想(レノボ)が買収したのは象徴的な事件である。その聯想(北京)は第14位に顔を出していて、香港証券市場上場の擬似外資系企業である。今後の中国国内パソコン市場を占う上で注目しておくべきは、中古パソコンを輸入販売しているドイツEMBが第11位に躍り出たことである。
(3)乗用車メーカーの台頭
2003年は中国のモータリゼーション開始の年として言われたが、急激な乗用車市場の拡大が、このランキング表にも反映されている。トップ25社の中に上記2社のほかに、上海GM(6位)、広州本田(13位)、日産が資本参加した東風汽車(18位)が入っており合計6社を数える。21位以下50位までの中にはシトロエンの神龍汽車(30位)、台湾裕隆汽車との合弁の広州風神汽車(32位)、トヨタ・ハイエースの瀋陽華晨金杯汽車(36位)、韓国ヒュンタイの北京現代汽車(41位)、台湾系軽自動車の東南(福建)汽車工業(44位)がいて、50社中に自動車メーカーは11社を数える。トヨタと第一汽車との合弁の天津一汽豊田汽車は第71位に雌伏している。日系企業としてのトップの広州本田は2004年11月に第二工場建設計画を発表し、2006年24万台態勢を打ちあげた。主力車種はアコード、オデッセイ、フィット
サルーン、フィットで、今後さらなる躍進が期待される。
(4)不振の日系企業
日系企業は近年、総じて不振である。上記で触れた広州本田(13位)、東風汽車(18位)、瀋陽華晨金杯汽車(36位)、そして2004年末に三菱自動車が経営参画した東南(福建)工業(44位)に次ぐのは、第50位の松下電器(中国)である。松下電器は21世紀に入って50社以上存在する事業部別拠点を再編成しつつあり、この統括会社を2001年に合弁から独資に切り替え、集約化・現地化・協業化を図っている。NATIONALブランドからPANASONICブランドに一本化し、中国市場での売上げ2006年度1兆円の目標を掲げて捲土重来を約している。ほかに51位―100位に入っている日系企業をノミネートしておけば、55位豊田通商(天津)、63位東風本田発動機、64位索尼〔ソニー〕(中国)、71位天津一汽豊田汽车、88位愛普生〔エプソン〕技術(深圳)、97位理光〔リコー〕(深圳)工業工発展、99位松下電器機電(深圳)を数えるのみである。アナログ家電で地場企業にシェアを食い尽くされ、一時期昇竜の勢いにあった携帯電話で欧米メーカーの前に顔色なく、パソコンでは台湾メーカーに席巻され、日本の電機メーカーは生彩を欠いている。
| 中国外資企業売上高トップ25(2003年) |
順位 |
企業名
(外資) |
業種
(拠点) |
売上げ額(万元) |
伸び率
(%) |
従業員数(人) |
'03-'04
(年) |
'02-'03
(年) |
2002年 |
2003年 |
| 1 |
2 |
上海上汽大衆汽車銷售有限公司 |
自動車販売 |
4,464,018 |
5,670,842 |
27.0 |
1,085 |
| (独・フォルクスワーゲン) |
(上海市) |
| 2 |
3 |
鴻富錦精密工業(深圳)有限公司 |
パソコン関連機器製造 |
3,861,017 |
5,479,101 |
41.9 |
9,999 |
| (台湾・鴻海集団) |
(深圳市) |
| 3 |
6 |
一汽大衆汽車有限公司 |
自動車製造 |
3,028,096 |
4,897,331 |
61.7 |
6,482 |
| (独・フォルクスワーゲン) |
(吉林省) |
| 4 |
28 |
達豊(上海)電脳有限公司 |
ノートパソコン製造 |
805,049 |
4,782,454 |
494.1 |
8,414 |
| (台湾・広達集団(QUANTA)) |
(上海市) |
| 5 |
1 |
摩托羅拉(中国)電子有限公司 |
携帯電話、半導体、電子部品製造 |
4,533,264 |
3,863,963 |
-14.8 |
11,501 |
| (米・モトローラー) |
(天津市) |
| 6 |
8 |
上海通用汽車有限公司 |
自動車製造 |
1,856,297 |
3,472,264 |
87.1 |
4,933 |
| (米・GM) |
(上海市) |
| 7 |
|
長城国際信息産品(深圳)有限公司 |
パソコン製造 |
|
2,905,807 |
|
4,021 |
| (米・IBM) |
(深圳市) |
| 8 |
82 |
上海惠普有限公司 |
パソコン関連機器製造 |
406,068 |
2,865,878 |
605.8 |
306 |
| (米・HP) |
(上海市) |
| 9 |
|
中海石油中国有限公司 |
原油、天然ガス採掘 |
|
2,699,251 |
|
950 |
| (香港・ニューヨーク上場) |
(天津市) |
| 10 |
10 |
戴爾(中国)有限公司 |
パソコン製造 |
1,757,187 |
2,517,553 |
43.3 |
2,000 |
| (米・デル) |
(厦門市) |
| 11 |
|
易安畢国際貿易(上海)有限公司EMB |
中古コンピュータの輸出入 |
|
2,433,887 |
|
0 |
| (独・EMB) |
(上海市) |
| 12 |
7 |
華能国際電力股份有限公司 |
火力発電 |
1,872,534 |
2,347,965 |
25.4 |
17,886 |
| (ニューヨーク上場) |
(北京市) |
| 13 |
11 |
广州本田汽車有限公司 |
自動車製造 |
1,363,173 |
2,233,092 |
63.8 |
4,076 |
| (日本・本田技研工業) |
(広州市) |
| 14 |
|
聯想(北京)有限公司 |
パソコン製造 |
|
1,736,157 |
|
3,963 |
| (香港上場) |
(北京市) |
| 15 |
14 |
大連西太平洋石油化工有限公司 |
原油加工、石油製品製造 |
1,244,722 |
1,585,005 |
27.3 |
1,507 |
| (香港、仏) |
(大連市) |
| 16 |
15 |
馬鞍山鋼鉄股份有限公司 |
製鉄 |
1,097,392 |
1,574,035 |
-86.0 |
45,723 |
| (香港上場) |
(馬鞍山市) |
| 17 |
|
海冠物流(上海)有限公司 |
物流 |
|
1,513,176 |
|
10 |
| (香港Ocean Crown Shipping Ltd.) |
(上海市) |
| 18 |
|
東風汽車有限公司 |
自動車製造 |
|
1,326,701 |
|
27,055 |
| (日本・日産自動車) |
(武漢市) |
| 19 |
12 |
諾基亜(中国)投資有限公司 |
電信サービス |
1,355,033 |
1,279,788 |
-5.6 |
1,170 |
| (フィンランド・ノキア) |
(北京市) |
| 20 |
16 |
希捷国際科技(无錫)有限公司 |
パソコン関連機器製造 |
1,085,016 |
1,270,176 |
17.1 |
7,399 |
| (米・シーゲートテクノロジー) |
(無錫市) |
| 21 |
121 |
英業達(上海)有限公司 |
パソコン製造 |
297,123 |
1,208,671 |
306.8 |
3,684 |
| (台湾・英业达集団(INVENTEC)) |
(上海市) |
| 22 |
9 |
北京首信諾基亜移動通信有限公司 |
携帯電話、通信設備製造 |
1,772,014 |
1,196,166 |
-32.5 |
1,470 |
| (フィンランド・ノキア) |
(北京市) |
| 23 |
30 |
上海友誼集団股份有限公司 |
小売業 |
758,464 |
1,159,108 |
52.8 |
7,498 |
| (上海B株上場) |
(上海市) |
| 24 |
33 |
广州宝潔有限公司 |
家庭用化学品製造 |
729,749 |
1,145,501 |
57.0 |
1,688 |
| (米・PG) |
(広州市) |
| 25 |
34 |
UT斯達康通訊有限公司 |
通信業 |
712,580 |
1,139,210 |
60.0 |
2,159 |
| (米・UTスターコム) |
(杭州市) |
注:上海大衆、一汽大衆はそれぞれ製造、販売会社を別にしているが、それそれ一社で代表してある。
(出所)中国商務部資料により21世紀中国総研作成 |
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